2013年5月29日水曜日

タナダユキ「復讐」

「百万円と苦虫女」の監督が書いた小説。

復讐復讐
タナダ ユキ

新潮社 2013-04-22
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なんていうのかよくわからないけれど、
この人の「自分探し」的なテーマの描き方がとても好き。
「百万円と苦虫女」のときも思ったけど。


これはざっくりいうとタイトル通り復讐の話。
リンク先の紹介文がだいぶぼかして書いてあるので、感想もだいぶぼかして書く。



復讐は、自分探しからある意味いちばん遠い場所にある。

「あのひとならこうしたはず」とか、「あのひとはこうすれば喜ぶはず」とか、
自分でない誰かに、自分を委ねなくてはいけない。

しかも、自分を探す必要はない。
自分の正体は、「あのひとを助けられなかった自分」であるともう知っているから、
そんな自分を探したくなんかない。


でもやっぱり、自分とは誰なのか、ということが問われざるを得ない瞬間があって、
そういうところに人間は苦しむようにできている。

みたいな話。(だと勝手に思った)


で、じゃあ自分は誰なのかというと、
「百万円と苦虫女」を観ても思ったけど
それは他人に言い当ててもらうしかない気がする。

どんなに自分から逃げていても、
自分さえ見てない自分をちゃんと見ているひとがどこかにいて、
いつか必ず追いつかれてしまう。
(「百万円と苦虫女」で言えば、どんなに居場所を変えても、弟からの手紙が届いてしまう)


そんな、自分に追いつかれる日を夢見てしまう。
追いつかれたいのか追いつかれたくないのか、自分ではよくわからないけど。

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