2011年9月23日金曜日

猪苗代湖ズ「I love you & I need you ふくしま」

猪苗代湖ズの「I love you & I need you ふくしま」が最近ツボ。


LIVE福島で聴いて、頭に残ったので買ってみた。

ボーカルはサンボマスターの山口隆で、サンボマスターあんまり好きじゃなかったけど、聴いてていいなって思った。

この曲も山口の作詞なのかよく分からないけれど、
シンプルすぎることばが、山口の頭悪そうな歌い方によく合う。

「アイラブユー」とか「本当の自分」とか
どっかで聴いたことあるようなフレーズの羅列は、
何回も同じようなこと聞いているからすり切れて色あせていて、あんまり意味をなさない。

そういうことばは、意味よりもむしろ気持ちを乗せていく。
山口の歌い方は、ことばが気持ちの溢れ出す速度に追いつかなくなって、
生身の気持ちがことばにラップされないまま飛び出してくるような、そんな疾走感がある。
そのくせ薄れたすり切れた言葉の中に、どきっとするような意味を見つけて、
じわっと心に沁みる。


気持ちをことばで伝えるのではなくて、
ことばにならない気持ちを、そのことばにならなさでもって伝えるような、
そんな音楽のあり方。

だって故郷のことを思うのに、ことばじゃ足りないから。きっと。

すてきだなーと思った。

2011年9月17日土曜日

与作は、木を伐る。俺は、何をどうする?

牧歌的。

とふと口にしたときに、牧歌ってそういえばどういう意味か知らないなと思ってグーグル先生に聞いてみる。

ぼっ‐か【牧歌】ボク‐
1 牧童などのうたう歌。
2 牧人や農民などの生活を主題とした詩歌。田園詩。パストラル。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/204408/m0u/
ということはこれは、牧童が牧畜してるさまを、農民が農業してるさまを描いてるってことですよね。
つまりは、労働について歌った歌ですよね。

じゃあ「牧歌」を「労働歌」と言い換えられるかと言えばそんなことはなく、

「あの街って牧歌的ですてきだよね」

と言うべきところを、

「あの街って労働歌的ですてきだよね」

というと、「あの街」はきっと悲壮感が漂っている殺伐とした光景で、
すてき、という言葉は皮肉にしか聞こえないか、
あるいは、労働組合とか学生自治会で運動したくてたまらないんだぐへへへ、みたいな運動フェチだと思われかねない。

「牧歌」と「労働歌」の間にある、
絶望的なまでのイメージの差はなんなんだろう。
「労働」ってなんなんだろう。

 
 そもそも労働歌って何なのかよくわからないけど、
↓これとか労働歌ですよね。 あってる?


与作にとっては、木を伐ることが「労働」だ。
木伐(こ)りが木を伐らずに何をするというのか。

だって名前にやること書いてあるやん。

あからさまに。


羊飼いとか、
マッチ売りとか、
籠担ぎとか、
名前にして名詞と動詞がすでに装備されているのがすてきすぎる、
みたいなことを尾田栄一郎が、
短編集の人食いの話のあとがきに書いていた気がする。


そんなふうに、かつて「労働」が何を指すのかは明快だった。
きちっと定義されていた。

でもいま、俺にとって「労働」って何なのか、分からない。

与作が木を伐るように、
俺は、何をどうすればいいのだろう。


という俺のこのニッチな悩みは、
牧歌的なのか労働歌的なのか。
どっちだろう。

2011年9月15日木曜日

過剰なQ&Aというハレーション

ザ・インタビューズを使い始めて10日。
なんとなくクセが分かってきた。

(今月一杯で使うのやめるので、なんかインタビューしたいなら今のうちだよーw)



質問に答えるのって、どんなふうにしますか?

俺の場合は、
まずはこちらが聞き返すところからはじまる。
「え、このことばってどういう意味ですか?」
「これは、いまどう思うかですか? そのときにどう思ったかですか?」
みたいなこまかな確認で、聞く側と答える側の間で共通認識をつくる。

相手が何を聞きたいのか、
それを聞くことで何を知りたいのか、
どんな温度の答えが欲しいのか。

それがわかってようやく何を答えるか考えはじめられる。



なのに、ザ・インタビューズでは、聞き返す相手がいない。
そのくせ、どんなに質問の意味がわからなくても、
なんか面白いことを答えられないと負け、みたいなプレッシャーがものすごい。

そう、「負け」ということばがすごくしっくりくる。
だんだんインタビューが勝負に見えてくる。

いい質問してやったぜ!みたいな質問者と、
いい答えを答えてやったぜ!みたいな回答者との、
ドヤ顔対決、的な?



だから、聞きたいことを聞いてるとか、
答えたいことを答えてるというよりは、
いいこと言わないと、というプレッシャーに押されて答えてる気がする。

だからいい質問にいい答えが出る。
それはそれで面白い。

別に噓を言ってるわけじゃないし、
いいこと言おうとして言うから、
渾身の答えを打ち返せるわけで、
きっと面白い。
2割増くらいで面白いに違いない。
面白さがインフレを起こしている。


でも、そういう過剰なコミュニケーションに興味がない。
これが勝負だったらいいけど、インタビューだとは思えない。いっそ「ザ・オオギリーズ」 とかに改名すればいいのに。


たぶん好き嫌いの問題だと思うけど、
俺は、ここの過剰性になじめない。

ハレーション気味のやりとりに目が眩む。
過剰なことが肌に合わない。
なんでかよくわからないけど。

なんでなんやろうね。
誰か、なんで俺がインタビューズが嫌いかインタビューしてよ(笑)。
もちろん、直接会ったときに。

2011年9月5日月曜日

まよわずきけよ、きけばわかるさ

ザ・インタビューズというのを始めてみた。

質問されたことに答えるだけというシンプルなサービス。
質問するのにはログインがいるけど、誰が質問したかわからないようになってるので、
ひまならいろいろきいてねー。

↓これ俺のアカウント。
http://theinterviews.jp/yutannihilation



まあでも、
まよわずきけよ、きけばわかるさ
と言ってみたものの、
たぶん聞いても分からないだろうなーと思ってる。

だから、どんな風に分からないのか、
俺がどんな風に切り取られて理解/誤解されるのか、
それを知りたくてやってみた。



そもそも、インタビューは、
インタビューする側とされる側の関係性の中に成り立つ。

インタビューをする人が、
どんな人なのか、
どういう答えを求めているのか、
どれくらい信頼できるのか、
どんな風にあいづちを打つのか、
どんな話の流れで出た質問なのか、
どんな表情で聞くのか、
どれくらい間を取ってから聞くのか、
どれくらいの声の大きさで聞くのか、



そういう要素によって、
同じ質問をしても答えが変わる。
インタビューする側は主役じゃないけど、
その場からいなくなることはできない。

なのに、こんなサービスでは
インタビュワーが匿名になっている。

もちろん、匿名にしているけど、
別の場所で「ふふ、あの質問したの俺だよ」「おまえかー!」みたいなやりとりはあると思う。
思うけど、それはつまり、やっぱりザ・インタビューだけではコミュニケーションとして完結していないわけで、
それは具体的にどこが完結していないのか知りたい。

インタビューって何なのか知りたい。

むしろインタビューって何ですか?って誰かにインタビューしたい。



そんなわけなのでひまならいろいろ質問してください。
ひまなときいろいろ答えます。
そしてアカウント教えてくれたら俺もこっそり質問します。
よろしくー。

2011年9月2日金曜日

阿部芙蓉美「町」

阿部芙蓉美を知ったのは、
ちょっと前にブログに書いた「その街のこども」の主題歌で。
最近、新しいアルバムが出たので買ってみた。


町

阿部芙蓉美

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どれもこれもエンディングテーマっぽい曲で、
(ていうか実際、7曲の半分くらいはエンディングテーマで、)
聴いてるとなんだか世界がスローモーションに見えて、
目の前のものが少しだけ許せる、気がする。
久々になんかしっくりくる音だ。

そのうちの1曲「私たちの望むものは」を聴いて、
なんだかいろいろ考えそうになる。
 


サビの部分の、
今ある不幸せにとどまってはならない まだ見ぬ幸せに今飛び立つのだ
というフレーズがなぜか耳に残る。

「とどまってはならない」という言い方が、
なんだか頑固で、
どこか悲壮で。

不幸せにどうしようもなく傷つきながらも、
うずくまっていてはいけないと前に進む、健気さ。

そういうの、俺にもあるのかな。
ないな。
不幸せに甘えてるな。

ここにいると不幸せだけど、
幸せになれない言い訳が山ほどあって、
すごく安心する。

でも、その安心にとどまってはならないんだな。
つらいな。

とかって考えてしまった。

そんな、悩むだけの行間がある、
阿部芙蓉美の音の空気感が好き。