2011年10月28日金曜日

タイの洪水(4)バンコク東部の道路を切るとか切らないとかいう話

Froc floats road drainage plan (Bangkok Post)
http://www.bangkokpost.com/news/local/263533/froc-floats-road-drainage-plan

Sukampol: No need to cut up roads(Bangkok Post)
http://www.bangkokpost.com/news/transport/263675/transport-minister-no-need-to-cut-up-roads


いやいや、なんかだんだんマニアックな記事になってきて、たぶん誰の役にも立たないなーと思いながら書いています。
すいません。


バンコク東部で、海の方に水を流すために東西に走っている道路を壊そうか、みたいな話が持ち上がっているらしい。
上のひとつめの記事に地図があるので転載します。


洪水は北から南の方に向かって流れてくるけど、
このへんの道路があるせいでせき止められて南の海の方にいかない。




えっ、道路でせき止められるってどういうこと?と思うひともいると思うけど、
道路は、もともとの地面に嵩上げしてつくられるので、周囲より高い。
で、排水溝とかもないので、水をせき止めてしまう。

タイでは結構、むしろ道路をもっと嵩挙げして堤防みたいにして使っていたりする。
でもここの道路はそういう役割じゃなくて、ほんとはせき止めずに水が南の方に流れなくてはいけない。


そこで、道路を切って、水が流れるようにしよう、という話。


(この画像は非常に雑なイメージです。)

The proposal has been put forward by a group of engineers and water resource management experts, led by Ninnart Chaithirapinyo, vice-chairman of Toyota Motor Thailand.
 この提案は、トヨタの副代表Ninnart Chaithirapinyoが率いる専門家集団によってなされたらしい。
If the roads are cut through, they can help drain about 60 million cubic metres of floodwater a day, he said.
 道路の開切を行なうと、1日6000立方メートルの水を海の方へ排水できる、と。(北部から来た水は40億立方メートル、って数日前の記事には書いてあった)

Temporary bridges will be built over the sections of the two roads where the roadwork is done.
The entire roadwork is expected to be finished in three days, Mr Thirachai said.
壊した部分には一時的に橋を架けて通れるようにする。3日あれば工事は完了する。
(ちなみにThirachaiはたぶんThirachonの間違いで、バンコク副知事)


でも、交通大臣はこれに反対している。ヘリで上から見たら
The floodwater is to flow into these canals before being drained into Khlong Samrong and the sea.
水路に流れ込んでたから道路は関係ない、大丈夫、と言ってる。
「these canals」というのはKhlong Bang Chalong, Khlong Chorakheyai, Khlong Sanamphli and Khlong Phra-rongchaoで、正確な位置はよくわからなかったけど、たぶんこの辺の水路。


もはや見出しで「Expart says」と書いてたらこのひと、みたいになってるランシット大学のSeri Supparathitさんも、

However, Seri Supparathit, an expert on natural disasters at Rangsit University, said the proposal is impractical because at present the water level in the Bang Pakong is higher than flood levels in Bangkok.

Bang Pakongのほうがバンコクより水位が高いから現実的じゃない、と言っている。
Bang Pakongは上の地図で言うと、枠外の右下の方にある県。


ということで、効果は謎だし、
なぜ一民間の団体の提案がここまで取り上げられてるのかよくわからないけど、
この東西の道路のせいで治水上の問題が起こるんじゃないか、という話は確かにバンコク都都市計画局のひとから聞いた。

ほんとは治水計画上ではここは水を円滑に流さないといけないが、
この辺りに利益を誘導したい政治家が働きかけて道路をつくり、しかもどんどん拡幅されてしまう、といっていた。

ふと思い出したので、書いてみた。


追記:
Froc: No need to dig up roads (Bangkok Post :)
http://www.bangkokpost.com/breakingnews/263696/froc-no-need-to-dig-up-roads

結局、道路は壊さないみたいです。
現状の水路とポンプがあれば問題ないって。

2011年10月20日木曜日

タイの洪水(3)Chulalongkorn floodgate周辺の位置関係

自分用メモに近いです。

この記事で王立灌漑庁の役人が言ってる位置関係を整理します:


RID official: Bangkok to be flooded(Bangkok Post)
http://www.bangkokpost.com/breakingnews/262312/rid-official-bangkok-to-be-flooded


↓まず、これはこのあたりの地域を言っている。バンコクのすぐ北。(出典:Wikipedia

そして、
 several sections of the floodwall along the Raphipat canal have been damaged
というのはつまり、以下の赤で示した水路がダメージを受けてるということ。

特に、1番から5番の水路が壊れて、水が流れ込んでいる、と。
There were cracks from the first to the fifth canal and floodwaters had already surged into Pathum Thani's Khlong Luang and Thanyaburi districts, RID official Chuchart Suppawatthanangkul said.


"The water will certainly reach Bangkok because the barricades surrounding the Chulalongkorn floodgate are not as strong as the dykes at Raphipat," Mr Chuchart said.
で「Chulalongkorn floodgate」がどこにあるかイマイチ分からなかったけど、
このWikipediaの項目によると、
khlong RangsitはChao Phraya川とNakhon Nayok川を結ぶ水路で、そのうちChao Phraya川の方の水門をChulalongkorn floodgate(ประตูน้ำจุฬาลงกรณ์)と呼ぶらしい。

↓Khlong Rangsitはここで、右がチャオプラヤ川。


ということは、Chulalongkorn floodgateはここなのかな?


Bangkok Postの3日前の記事
によると、水は東の方に流す予定らしいけど、

Chulalongkorn floodgate周辺が壊れて、そこから水がバンコクの方に行ってしまう、という話みたい。


どこまであってるか分からないけど。
とりあえずメモでした。間違ってたら教えてください。

2011年10月18日火曜日

タイの洪水(2)「国土三分の一が水没」?

タイの洪水 国土三分の一が水没(痛いニュース(ノ∀`) : )
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1670541.html

というのを見て、えっ、国土三分の一?
ていうかこの洪水地図だとバンコク完全に沈んでるけど、まだ沈んでなくない?と思ったのでちょっと調べてみた。


1) 「国土三分の一」
これはどうも、ニュースが伝わっているうちに

「全県の3分の1で洪水が報告されている」

「国土の3分の1で洪水」

「国土の3分の1が水没」

と変化していったっぽい。。
専攻の先生にご指摘頂きました。


「タイ 洪水 3分の1」でググると、
「国土の3分の1が水没」みたいな表現がほとんど。
↓読売がまだマシだけど、正しい表現かは微妙。

タイ大洪水 早期復旧に日本の支援が必要 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)-
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111017-OYT1T01430.htm
7月からタイ北部などで豪雨が降った影響で、国土を縦断するチャオプラヤ川上流で洪水が発生した。全国で3分の1の県が冠水して約300人が死亡し、首都バンコクの一部も浸水した。




一方、「Thailand flood one third」でググると、

Currently about one third of Thailand's provinces are affected by the floods (MSN Malaysia News)
Thailand on Wednesday declared a third of its provinces to be disaster zones (AFP)
One-third of Thailand declared disaster area (Ottawa Citizen)
という感じで書いてある。
だいたい10月12日頃の記事。
このうちAFPは表現が雑で、正確にはOttawa Citizenの表現だと思う。


つまり、全77県のうち26県で洪水被害が生じている。(それらの県が災害地域宣言をした)という話らしい。
国土の3分の1が沈んだわけじゃないですよ。




2) 画像
↓この地図の出所を、NHKに問い合わせてみた。

したら、すばやく返事が返ってきて、さすがNHK!と思った。
これの出所は、タイの国土地理院的なところが提供している以下のサービスらしい。
http://flood.gistda.or.th/

青色になっているところは「衛星画像や目視からどこか一カ所でも浸水が確認された行政区」らしい。

ということで、
浸水は「青色になっている地域のどこかで起こっている」だけで、
「青色になっている地域全体が水の底にある」わけではありません。
この画像見るとめっちゃ沈みまくってる気がするけど、
(特にバンコクは)こんなにではないよ。

被害がすさまじいのは確かだけど。


…ていうか、常識で考えて、
例えば、「千葉県で洪水」という見出しを見たら、
千葉県全体が、すべからく洪水にあってると思うの?w
ディズニーランドも成田空港もなにもかも水の底に沈んでると思うの?w

「千葉県のどこかで洪水が起こった」とかって自動翻訳しますよね。
しましょうよ。

と、思った。

2011年10月17日月曜日

タイの洪水(1)何が悪かったのか、誰が悪かったのか

何を書いていいか分からないけど、昨今のタイの洪水について、
ちょこちょこブログに書いていこうと思います。
たぶんあんまり大した情報はかけないけど。。

↓気になる人は、ツイッターでもタイの洪水関係のことをつぶやいてるので見てください。

http://twitter.com/#!/yutannihilation
http://twitter.com/#!/yutannihilation/thai (タイ関係のアカウントのリスト)





バンコクがとりあえず洪水から免れそうな(雰囲気になった)ので、
ほっとした人たちが、そもそもなんでこんな洪水が、という原因追及、責任論を言い出し始めている。
見つけたものをとりあえずクリップ。
(個人的には、どれもピンと来ない。。)



1) ダムの使い方がまずかったんじゃないか論
Thailand: Why was so much water kept in the dams? (Asian Correspondent) http://asiancorrespondent.com/67239/why-was-so-much-water-kept-in-the-dams/

Every party kept water in large dams. The Irrigation Department and the Electricity Generating Authority of Thailand (Egat) were afraid they would run out of water in the dry season. They made the wrong guess.
農業と発電のために電気が欲しくて、乾期に備えて水を溜めていた。
雨量を読み間違えて、大雨で早いうちに満杯になってしまった。
そのため、途中からは降ってきた雨を下流にだだ流しにするしかなく、下流を守れなかった。
ダム運用のミスが招いた、人為的な災害だ。みたいなことが書いてある。




2) そもそも洪水危険地の開発が愚かだった論
We reap what we sow by destroying nature (Nation)
http://www.nationmultimedia.com/opinion/We-reap-what-we-sow-by-destroying-nature-30167611.html

These industrial estates are densely concentrated in Ayutthaya and Pathum Thani, even though the areas are low lying and susceptible to flooding. The Irrigation Department warned developers not to build industrial estates there because, in the event of floods, Ayutthaya in particular would become a basin to hold the water. Yet still the developers went ahead to invest in these industrial estates because of the proximity to Bangkok. Besides this attraction, there is also an ample labour force in the area. Most of the workers are farmers
アユタヤ県とパトゥムターニー圏に工業団地が集中しているが、その地域はそもそも低地で洪水に弱かった。王立灌漑庁はデベロッパーに工業団地建設を止めるよう警告していた。
でも、いろいろ魅力があって、結局デベロッパーが投資して工業団地ができてしまった。
みたいなことが書いてある。
(最後の方の、人間が自然を壊した報いなんだ、みたいな話のつながりがいまいち分かんない…)




3) 行政がうまく機能してない論

Floods show up PM's lack of experience (Bangkok Post)
http://www.bangkokpost.com/news/local/261668/floods-show-up-pm-lack-of-experience
バンコク北部に避難警報を出したり避難しなくて大丈夫だと言ったりどっちだよ!みたいな混乱があったけど、あれはやっぱり首相の指導力のなさが原因じゃないか。


We do not know what we are doing(Bangkok Post)
http://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/261557/we-do-not-know-what-we-are-doing
色んな人が色んなことを言ってて、何が何かわからない、みたいな感じ?(ちゃんと読んでない)
たぶん上の記事と同じようなことが書いてある。

Yingluck: Centre, BMA not in conflict(Bangkok Post)
http://www.bangkokpost.com/breakingnews/261391/yingluck-centre-bma-not-in-conflict
国とバンコク首都圏庁(BMA)はケンカしてないよ、と首相。
逆に言えば、ぎくしゃくして見えるくらい連携が取れていなそう、ということ。


追記:
あ、これもか。
Thai floods a reflection of crisis of leadership? (TODAYonline)
http://www.todayonline.com/Commentary/EDC111017-0000089/Thai-floods-a-reflection-of-crisis-of-leadership

Instead of dealing with the root causes, they concentrate on building control structures such as flood embankments to protect habitation and agricultural land.

This is exactly what Ms Yingluck has been doing. Thailand still lacks a long-term crisis management plan.

2011年10月16日日曜日

プリペアドピアノ

プリペアドピアノがプリペアされていく過程の動画をふと見つけて、面白かった。

プリペアドピアノは、ジョン・ケージが考案した、弦の上に色んなものを置くことで偶発的な音を出す楽器。
この動画で弾いてるのはHauschkaというドイツのミュージシャンで、俺はこの人が弾いてる楽器としてプリペアドピアノを知った。
いつも不思議な音が出てて、なるほどこんな風に「プリペア」するのかーと感動した。
すごい楽しそう。


2011年10月14日金曜日

身近じゃない人が死んだ。

死んだ、という表現は正確じゃない。
死んでいた。
1ヶ月ほど前に。


その間、俺は呑気にメールを送り、

返事を待っていた。
催促をした。

生きていると思っていた。




研究でお世話になった方で、けれど2回しか会ったことがなく、
亡くなったと聞いても実感が湧かない。





死とは何なのだろうと思う。

死んだと聞くまでは、俺の中であの人は生きていたのに、
死んだと聞いた瞬間に死んでしまう。
「死」はただの言葉なのに、
ただの言葉だけで、俺の頭の中にいたあの人は死んでしまう。

死とは何なのか、まるで分からない。

身近でない人の死というのは、特にどうしていいか分からない。
死は悲しまなくてはならないという義務感と、
けれどどう悲しんでいいか分からない実際とがせめぎあう。

あの人が死ぬことは、誤解を恐れずに言えば、
「困る」ということばがしっくりくる。
研究が進まなくなるし、
「ありがとう」という言葉の宛先がなくなるし。

困る。

あの人の死は俺を困らせる。
そんな風に利己的に「死」を意味付けすることはできる。

けれど、
悲しい、と言っていいのかが分からない。
こんなにも身近でない人の死を、
身勝手に悲しんでいいのか分からない。

困るのは俺ひとりだけれど、
悲しみはひとりのものじゃない。
人間は、ひとりでは悲しむことが難しい。

「悲しい」という感情を「悲しむ」という動作に変えるには、
というよりむしろ、
「悲しむ」という動作によって自分の「悲しい」という感情を発見するには、
誰かと悲しまなくてはいけない。

悲しみを共有し、ともに悲しむ人がいてはじめて、
「悲しい」という感情が生まれる。そんな気がする。
葬式とかって、「悲しい」という感情を生み出すための装置だと思う。



でも、俺はいま、

誰とも悲しみを共有しないまま、こっそり悲しもうとしている。
身近な人の悲しみを共有せず、一方的に悲しもうとしている。


もっと悲しんでいる人の悲しみを共有するほどの覚悟はない。

身近じゃない死を、身近に感じる勇気がない。

たぶん、
身近じゃないあの人を、身近にする努力もしてなかったんだな。
ずるかったんだな。


行くあてのない悲しみのように、
もうちょっとふらふら生きよう。
いつかこの悲しみを、ちゃんと悲しめるようになろう。

別れの秋に、死を想う。

2011年10月6日木曜日

じゃこ天レシピ備忘録

料理したレシピをブログに書く、という作業をついぞやってないな、と思った。

このラベル使うのまじ久しぶり。。
案の定、節分のときのレシピも書き忘れている。ショック。。

とりあえずメモ程度に残しておきます。

http://www.uwajima-kamaboko.com/eat.html
http://www.rdpc.or.jp/kyoudoryouri100/recipe/recipe/380163