俺はこのあたりを思い浮かべる。
そしてこれは「エモ」という言葉の理解としてけっこう正統なものだと思う。ちょっとググると出てくるけど、「エモい」というのはまさに音楽のジャンルとしての「Emo」を出自とする言葉だからだ。(ちなみに読み方は「いーもぅ」という感じらしい)
音楽のジャンルの一つである「エモ(Emo)」「エモーショナル・ハードコア」、それに由来するファッション、文化全般、その様子の俗称。感情的、情緒的を意味する英単語「Emotional」に由来する。Emoい。が、そういう言葉の来し方を誰もと共有できるわけではない。それは知っている。知ってはいるけど、
(えもいとは (エモイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科)
とか言われると、Green Dayと昔の宮廷人が結びつかなくて、なんかそれ俺の知ってるEmoと違う!と思ってしまう程度には俺は頭が固い。古代には、「エモい」とほとんど同じ用法を持った「あはれ」ということばがありました。「いとあはれ」と言っていた昔の宮廷人は、今の時代に生まれたら、さしずめ「超エモい」と表現するはずです。(「今年の新語2016」選評より) https://t.co/Mq1ppMDe2c— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016年12月5日
なるほど言葉の意味は用法だ。 「正しい意味」なんていうものはなくて、どう使われどう伝わるかがすべて。上のツイートをした飯間さんも「的を得る」誤用説に関してそういうコメントをしている。
でも人は言葉から意味だけを理解するわけではない。もっとたくさんのものを汲み取ろうとする。どういうニュアンスを表現したいのか、どういうユーモアが込められているのか、同じ用法の言葉がいくつもある中からそれを選ぶことは果たしてどういう社会的なコードを持つのか。
そういうとき俺はかなり語源とか元ネタに頼る。必要以上にググるし辞書を引く。ちなみに辞書はちょっと古めのやつのほうが、今の意味との差を積分すると語源に近づけるような気がして良い(※個人の感想であり、効果には個人差があります)。
その結果、こういうことになる。
これを専門用語(?)でミーム汚染というらしい。俺くらいのまじめさになると、ひとたび語源を知ってしまえば慣用句的な意味にすんなり戻れない。たとえば「どう見ても○○です本当にありがとうございました」とか女の子が使ってるのを見ると、え、いいの?と思ってしまう笑— Hiroaki Yutani (@yutannihilation) 2014年3月10日
元ネタは危険だ。元ネタは必ずしも現在の意味とは関係ない。そのくせ、正統性という圧倒的強さで記憶に焼き付こうとしてくる。ひとたびそれを知れば元通りではいられない。
もう俺は、グリーンデイのグの字もしらん若造がエモいとか言うな!みたいな老害に片足を突っ込んでしまったので手遅れだが、若者はどうか自由にことばを使ってほしい、みたいなことを思った今年の新語2016だった。
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