2010年10月3日日曜日

長いトンネル

最近、前の指導教官の悪口を言わなくなった。

たぶん、半年経って、
ようやく忘れられつつあるのかなと思う。
嫌なこととか、
悔しかったこととか、
自分の持てる全てを注いで闘っていたこととか。

忘れるということは時に、死ぬほど難しい。
悪い記憶は、死なないと治らない病のようだから。

一生それから脱け出せないひとだっているし、
トラウマを背負いながら笑って強く生きてるひともいる。


俺の場合はそんな大げさじゃなかったけど、
単に自分の期待が外れただけだったけど、
一方的にとはいえ信じていた人に、
裏切られた経験は重たくのしかかる。


闘ってはいたつもりでも、
千葉まで来たのは逃げではなかったか、
という自問自答が、ふとした拍子に頭をかすめる。


でも、半年経ってようやく、
俺は消去法でなく、自分で選んでここにいるんだ、
と言えるようになった気がする。


たぶんそれは、タイに行って、研究がほぼ白紙になりそうなことと、
就活時期が迫ってること。

自分の根本を揺るがすような事態。
きっと、そういう不安があって、
はじめて俺は地に足が着いていられるんだ。


前期は、楽しすぎて、
不安がないことが不安だった。
どっかに落とし穴があるような気がして立ちすくんでいた。
でも今は違う。
目の前に不安があるという安心に、一休みしている。


俺はたぶん、これから長いトンネルに入ることになる。
前の指導教官という、暗すぎたトンネルを抜けて、
不安の中を再び歩むことになる。
今度は、自分で選んだトンネルを。


秋が終われば、もうすぐ寒い冬が来る。
俺の季節だ。負けない。

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