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最近、気持ちが重いことの原因の一つに、
柳美里をフォローしたことがある気がする。
つぶやきのいっこいっこが重い。
重いのはきっと、この世界観に共感できてしまうからなんだろう。
共感できなかったら、
目を逸らすこともできるかもしれない。
けれど、自分の中に、そのミニチュアの闇があるから、
たとえ急いで視線を外しても、
心に焼き付いた残像が消えることはない。
きっと、直視することでしか乗り越えられない。
そういうことが、生きてるといっぱいある。
直視する、というのがどういうことかわからないけど、
とりあえず柳美里の本を読んでみる。
「ゴールドラッシュ」は、1999年に書かれた小説。
裏表紙の筋書きには、
風俗店が並び立つ横浜黄金町。14歳の少年は、中学を登校拒否してドラッグに浸っている。父親は、自宅の地下に金塊を隠し持つパチンコ店経営者。別居中の母、知的障害を持つ兄、援助交際に溺れる姉など、家庭崩壊の中、何でも金で解決しようとする父に対し、少年が起した行動とは…。生きることはゲームだと思っていた少年が、信じるという心を取り戻すまでを描く感動的長編。
とかって書いてあるけど、
筋書きが意味を持つ本じゃない。
柳美里の世界観の中に放り出されて、呆然とするための本だ。
文章はけばけばしくて読み手を威嚇していて、
登場人物はこれでもかと不幸を山盛りにされ、
ただただグロい物語が、淡々と続いていく。
淡々と、理解を拒んでいる。
閉塞が未来を覆っている。
これはフィクションだけど、
きっと柳美里はこういう世界を生きているんだろうな。
そういう世界、なんか分かる。
分かる、だなんておこがましいけれど。
あんまり分からないけど。
その分からなさを、俺は分かりたい。
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