2011年1月27日木曜日

柳美里「ゴールドラッシュ」

ゴールドラッシュ (新潮文庫)ゴールドラッシュ (新潮文庫)
柳 美里

新潮社 2001-04
売り上げランキング : 89519

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


最近、気持ちが重いことの原因の一つに、
柳美里をフォローしたことがある気がする。

つぶやきのいっこいっこが重い。
重いのはきっと、この世界観に共感できてしまうからなんだろう。

共感できなかったら、
目を逸らすこともできるかもしれない。

けれど、自分の中に、そのミニチュアの闇があるから、
たとえ急いで視線を外しても、
心に焼き付いた残像が消えることはない。

きっと、直視することでしか乗り越えられない。
そういうことが、生きてるといっぱいある。


直視する、というのがどういうことかわからないけど、
とりあえず柳美里の本を読んでみる。


「ゴールドラッシュ」は、1999年に書かれた小説。
裏表紙の筋書きには、
風俗店が並び立つ横浜黄金町。14歳の少年は、中学を登校拒否してドラッグに浸っている。父親は、自宅の地下に金塊を隠し持つパチンコ店経営者。別居中の母、知的障害を持つ兄、援助交際に溺れる姉など、家庭崩壊の中、何でも金で解決しようとする父に対し、少年が起した行動とは…。生きることはゲームだと思っていた少年が、信じるという心を取り戻すまでを描く感動的長編。

とかって書いてあるけど、
筋書きが意味を持つ本じゃない。
柳美里の世界観の中に放り出されて、呆然とするための本だ。

文章はけばけばしくて読み手を威嚇していて、
登場人物はこれでもかと不幸を山盛りにされ、
ただただグロい物語が、淡々と続いていく。
淡々と、理解を拒んでいる。

閉塞が未来を覆っている。



これはフィクションだけど、
きっと柳美里はこういう世界を生きているんだろうな。

そういう世界、なんか分かる。
分かる、だなんておこがましいけれど。
あんまり分からないけど。

その分からなさを、俺は分かりたい。

0 件のコメント: