贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書) 桜井 英治 中央公論新社 2011-11-24 売り上げランキング : 93369 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この本面白かった。
メモ書き程度にブログに書いておく。
「贈与」ということばを聞くと、
市場経済とか資本主義とは無縁のところにあるイメージがあるけど、
実はそうとも限らないよ、たとえば中世日本とかね。
的なことが書いてある。
歴史の話と言うよりは、たぶん経済の話。
贈り物は、ひとたび「先例」となれば
「贈らなくてはならない」という強制力を持つ。
贈り物は次第に負担になってゆき、
贈られたものをまた別の人への贈り物に回したり、
現金の変わりに「折紙」という債権を贈ったりするようになる。
この「折紙」というやつが怖い。
手元にお金がないけど贈らなくてはいけないとき、
「あとで払うから! これで贈ったってことにしといてー」
という使い方ができる便利なシロモノだけど、
やがて濫用しすぎて払えないひとが出てくる。
それに対して幕府は、「折紙方奉行」なんていう専用部署までつくって、
借金取り立てに励んでいたらしい。
ところが、折紙を贈ったほうもたいてい火の車だったから、現金もそう簡単には集まらない。そこで滞納者たちに督促し、未精算の折紙銭を回収して回るのが「折紙方奉行」の重要な仕事となった。前に伏見宮貞成親王が将軍義教にたいして二年分の折紙銭を滞納していた例を紹介したが、その貞成も幕府からしばしば督促を受けていた一人である。ところが、貞成はあまりにも折紙を濫発しすぎたために、督促をうけてもそれがいつのどの折紙を指しているのかさえわからない状態に陥っていた…(略)さっき「借金」って書いたけど、
贈与はひとに借金させることだってできる。
怖くない?
この本の終盤はやや話題が発散して、
エスカレートしていく贈与の末路を予言してはくれない。
けっきょく贈与がなんなのか、という俺の質問にずばっとは答えてくれない。
こっから先は自分で考えろということなんだろうな。
そういう問いを贈られてしまったからには、答えを贈り返さなくては。
なんて思ったり。
贈与って怖いですね。
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