「はじめての工学倫理」斉藤 了文、坂下 浩司
高校のときは、科学なんて大嫌いだった。
でもなぜか理系クラスにいて、毎日が憂鬱だった。
成績はよかったけど、
科学を面白いと感じることはできなかった。
俺は、科学が面白いと感じるのは罪だと思っていた。
俺の中で、技術の進歩とは
戦争を悲惨にするだけのものだった。
それはきっと、
倫理の伴わない技術ばかりが目立つからだ。
ブレーキを踏まない車の方が速いに決まっている。
でも、そんなものばかり見ている内に、
技術というのはそういうものだと絶望していたのだろう。
その絶望は今でも消え去らずに残る。
俺は科学を面白いと思うことはできない。
俺が技術者になりたい理由は
科学が好きだからではない。
科学が嫌いだからだ。
嫌いだからこそ見えるものが、きっとある。
今の技術にはどのネジが抜けているのかを知りたい。
そして、知ってほしい。
この本は、その一助となる貴重な教科書だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿