2009年1月27日火曜日

未来を写した子供たち

久々に映画を観た。


未来を写した子供たち
http://www.mirai-kodomo.net/

カルカッタの売春街に住む子供たちのドキュメンタリー映画。
第77回アカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞。

監督のザナ・ブリスキは、アメリカ人の女性カメラマン。
売春街で子供対象にカメラ教室を開いている。
これは、子供にカメラの使い方を教えることでエンパワーメントを目指すNPO Kids with Cameras(ザナが創始者)の活動として行われている。


この映画はたぶん、Kids with Camerasの宣伝の役割もあって、
ザナががんばっているところと、うまくいっているところが過度に強調されている気もする。
カメラを教えることが本当に効果的な援助なのかわからない。
あと、ザナのやり方はなんだか一方的だ。
一向にヒンディー語をしゃべらないし、
子供と接するのはうまいけど、
実際に売春をしている大人の価値観を理解しようとしていない感じがする。
アカデミー賞を受賞した後に売春街の売春婦団体から抗議があったという。

俺には何がよくて何が悪いのかは判断しかねる。
難しすぎる問題だ。


それでも、
突然インドの売春街に移り住んで、
子供たちのために駆け回る
ザナの情熱は評価されるべきものだろう。



ストーリーを簡単に言うと、
売春街に生まれて外の世界を知らなかった子供たちが、
カメラを通していろんな世界を見て、希望を持っていく。
やがて学校に行って将来に向けて勉強し始める。
みたいな話。


でも、そんなに単純じゃない。
映画の最後で、現実にはハッピーエンドもバッドエンドもないと思い知らされる。

映画は終わっても
世界は終わらない。
どんな希望もいつかは賞味期限を迎えて消えていく。


だったら、カメラを手にしていた子供のあの笑顔は、希望は無駄だったのか。


この映画の主人公のひとり、アヴィジットという男の子がこんなセリフを言う。

「写真ってすごいよね。
たとえある人が死んだとしても、
その前に写真に撮ってさえいればいつだって会えるんだ」

映画の中でもこの言葉の重みを知ることになるけれど、
それって本当だと思った。
いつだって会える。

子供たちの写真に写っているのはきっと、
希望であり未来だ。
生きていくといつか、
持っていた希望も描いていた未来も忘れてしまうけれど、
いつだって思い出せる。

トーマス・ルフは、
日本語で写真とは「真実が写っている」という意味だ
と聞いて笑ったらしいが、
写真は真実を写せると俺は思う。

卒業アルバムを見て旅立っていくあの時の決意を思い出せるのと同じように、
いつだってその瞬間に戻れる。
記憶は嘘をつくけれど、
そのとき感じた希望は嘘じゃない。
そこに写っているのは真実だ。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

この映画、アカデミー賞受賞してたんだ。
俺も見たよ。
ハッピーエンドってわけじゃなくて、「現実ってやっぱそんなもんかー」ってのがスッキリいかない映画だったな。
あの白人女性は、映画のおかげでファンドレイズできて、カメラを通じた支援を継続しているのかな。気になるところ。