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松尾スズキの描く絶望は、爽やかすぎる。
冬の青すぎる空みたいに。
俺は小説よりも映画版を先に観たけど、
あまりに爽やかに絶望して、
当時代表をしていたサークルを解散しようと思った(笑)。
絶望のデトックスとでもいうのだろうか。
「泣ける映画」を観て泣けてしまうように、
日常の些細な絶望が、
増幅して束になって込み上げてくる。
昨日はひととうまくしゃべれなかったとか、
明日も仕事かーとか、
そういう些細さ。
といってでも、
松尾スズキが書くのはぜんぜん日常の話じゃなくて、
「クワイエットルームにようこそ」も、
精神病院閉鎖病棟という、とっても非日常の話。
オーバードーズで閉鎖病棟に運ばれた主人公が、
退院を目指して病棟に馴染んでゆきつつ、
徐々になぜ自分が運ばれたのかを思い出していく、
未来と過去が入り交じる物語。
そんな重い話なのに、
松尾スズキの文体はいたって爽やかで面白い。
思わず笑えてくる。
その笑い方は、
ほんとに面白いのが半分、
ほんとに絶望したときってこんな風に笑えてくるんだろうな、という感じが半分。
不思議な感じ。
そんな笑えてくるほどの爽やかな絶望を俺は知らない。
ぬるい絶望に浸かって暮らしているという、
ぬるい幸せの中にいる。
2 件のコメント:
蒼井優が好きでその映画見たけど、面白かった!原作は読んでないけど、テーマの重さを重苦しいだけじゃない表現で見れたわ。
面白いですよねー◎
俺は逆に、あの映画で蒼井優が好きになりました。
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