2009年6月25日木曜日

研究計画書(明日提出します!)

いろいろコメントをくださった方、
特に、厳しい意見を言ってくれた方、
ありがとうございます。
おかげで、ぼやっとしていた研究計画が少し輪郭を帯びてきたような気がしてます。
まだまだ全然だけど。

そして、ごめんなさい。
正直、もらった貴重な意見をぜんぜん処理しきれていない感があるんですが、もう明日郵送します。
下に載せたのをちょっと修正したのが完成版になると思います。


でも、明日以降もずっと意見は募集中です!!
研究計画書には反映できませんが、もし俺が首尾よく院に受かったらこういう研究をしていくわけなので。
今後もよろしくお願いします◎



 本研究では、タイのバンコク周辺において、遊水地の土地利用規制がどのようにマネジメントされているかに焦点を当てる。

1 背景
 洪水災害は (1) 洪水の強度(流量、水位など)、(2)治水施設の能力(貯水容量、流下量など)、(3) 被害ポテンシャル(人口密度、建造物など)の 3 要素が絡み合った社会現象である [1]。近年、洪水の被害増大の原因として気候変動が挙げられることが多いが、実際には、都市化が進んで災害危険地域にまで人口・構造物が増大してきたことも大きな原因の一つである。被害の最小化のためには、土地利用の規制・誘導によって被害ポテンシャルの増大を抑える必要があるが、そのような治水政策を取り入れている国はまだ少ない。
 その中でもタイは、土地のゾーニングに「遊水地」という区分を設けて土地利用規制を試みている数少ない国である。モンスーン気候にあって洪水が頻発するタイでは、遊水地による洪水の被害抑制は一定の成果を収めているが、都市化の圧力に曝され規制の継続が困難になっている地域もある [2]。

2 目的
 遊水地を活用した治水政策は、欧米にいくつか事例がみられる。しかしアジアにおいては、遊水地の文化は広く存在しながら、治水政策に遊水地を活かしている実例は日本や中国、タイなど数える程である。そのため、アジアでの遊水地に関する研究はとても少なく、中でもその管理について論じたものは管見ではほとんど見当たらない。一般に、人口集中が進む都市周辺において土地を使用しないままに維持するのは困難と考えられる。土地利用規制を活かした治水政策の是非を検討するためには、そうした実務面で生じる隘路を特定・分析する必要がある。
 本研究は、タイのバンコク周辺における遊水地管理の実態を明らかにし、その展望を考察することを目的とする。この研究成果は、モンスーンアジアに適した治水政策モデルの構築に寄与するものと期待される。

3 内容
 土地利用が規制されていても、ガバナンスが不十分であれば土地は使用されてしまう可能性がある。具体的には、(a) スクオッターによる占拠、(b) 土地所有者による違法開発、(c) 行政による不適切な規制解除、といった形態が考えられる。これは治水政策の本旨を損なうものであるし、なにより土地使用者自身にとっての不利益につながる。
 以上の問題意識を念頭に置きつつ、タイの遊水地管理の現状に関して以下の研究を行う。
• フィールドワークによる遊水地の使用・管理実態調査
• 関連する組織体制、法律の研究
• 住民参加、ガバナンスの度合いの測定

 タイの土地や治水に関する文化も考慮に入れつつ、上述の (a)(b)(c) や周辺住民などの様々なステークホルダーが遊水地の管理にどのような影響を及ぼし合っているかを明らかにしたい。

参考文献
[1] 砂田憲吾ほか「アジアの流域水問題」技報堂出版 2008
[2] 吉川勝秀「流域都市論」鹿島出版会 2008
[3] UN World Water Assessment Program, ”National Water Development Report: Thailand”2007

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