2009年7月12日日曜日

アラル海はいま

アラル海、3年で8割縮小 かんがいシステム導入で(AFP)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2620056/4348919


えっ!?
と思った。
こんなに縮んでるのか、アラル海。

上の記事の写真は、いつかわからないけれど、2008年。
Wikipediaに載っている写真は2008年4月。
1年経たないうちにこんなに干上がるなんて‥


ところで、
AFPのはきっとわかっていないひとが書いたやつだ。
頭悪いでしょこの記事。

「かんがいシステム導入」と「3年で8割縮小」はまったく関係がない。
というか、記事をよく読めば、
内陸の水域としては、かつては世界4位の規模を誇っていた同海だが、半世紀ほど前の旧ソ連時代に綿花栽培のためのがかんがいシステムが導入されたことで同海に注ぐ川からの流入量が減り、海岸線が後退し続けている。(アラル海、3年で8割縮小 かんがいシステム導入で(AFP)

とあって「かんがいシステム導入」は3年前とかの話ではないことがわかる。

もちろん灌漑は、アラル海が半世紀間干上がり続けてきた原因だ。
地球温暖化はぜんぜん関係ない。
冷戦で入ってこなくなった農産物(特に綿)をまかなうためにソ連が新規に農地を開墾し、灌漑に水を使われてアラル海に流れ込む川の水は激減した。
ひどいときには1日で200mも海岸線が遠のいたという。


でも、繰り返すけど、灌漑はこの3年の急激な縮小の主犯ではない。
じゃあなぜか。
それは、2005年8月にアラル海を上下に分断するコカラル堤防ができたからだ。

干上がっていったアラル海は、北の小アラル海と南の大アラル海に分かれていた。
流れ込む川の水はしかし、そのどちらも潤すほどはない。
それならいっそ、大アラル海は見捨てて小アラル海を残そう。
と、水が北から南に流れ込まないように堤防をつくった。

果たして大アラルは涸れ、小アラルは残った。
予想通りの結果だ。


といって、もちろんハッピーエンドではない。
まわりに住む人にとっては、
みんなハッピーなわけではないし、
これがエンドなわけでもない。

もっとそこに住む人々の暮らしに思いを馳せないといけない。
地図から見た変化なんて、どうでもいいんだ。

海岸が200m動くのが問題なのではなくて、
漁に行くのが200m遠くなるのが問題だ。

塩まみれの砂漠の広大さが問題なのではなくて、
舞い飛ぶ塩によって起こる健康被害が問題だ。



アラル海に行ってきたことはこのブログにはまだ書いていないと思うので、
またいずれ書きます。

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